遺産分割のやり直しと贈与税についてが、わかりません。

 

<解答>
単純な遺産分割のやり直しは贈与になってしまうようだが、このような場合については贈与税の課税については行われることはない。

<解説>
(1) 単純な遺産分割のやり直しは贈与になる。
遺産分割(相続において)については、その分割方法が代償分割、換価分割、もしくは現物分割であるか、また、その分割の手続きについてが、審判、遺産分割協議、あるいは調停によって分割であるかどうかを問われることはなく、どのような分割であったとしても、有効に成立することができれば一件落着となる。
しかし、一旦有効に成立を行った遺産分割について、遺産分割のやり直しとして再分配を行った場合につきましては、その再分配によって取得できた財産については、先程述べた「分割によって取得した財産」には、該当することはないと考えられる。
つまり、一度取得を、各相続人が行った財産をさらに贈与によって、移転されたとみなされる。そこに、贈与税が課税されることになるため、注意しなければならない。これが大原則となる(相続税基本通達19の2−8)。

(2) 遺産分割が無効であったら、取消されるべき原因によって取り消された場合
では、当初の遺産分割が無効であったり、取消されるべき原因によって取り消されたりした場合についてはどうなるのだろうか?
単純遺産分割のやり直しについては、贈与税の対象になるという考え方については、遺産分割が法律上、有効に成立されたものであるということを前提にしたものになっている。したがって、当初の遺産分割が無効であったり、取り消されるべき原因によって取り消されたりした場合については、当初の遺産分割による財産の帰属自体に問題が生じていることになるため、そのやり直しが本来の遺産分割であると言える。ですから、このような場合については、贈与税等の課税関係が生じることはないと考えられる。

(3) 遺産分割の合意解除
では、相続人全員で、遺産分割を合意し、解除した場合についてはどうなるのだろうか?
過去の判例においては、遺産分割協議が遺産の帰属を相続時に遡及することにし、創設時に定める一種特別の合意であるという特殊な正確があるということ、また、遡及を有している遺産の再分配を認めると法的安定性が著しく害されてしまうといった理由により、民法541条等による法定解除が許されることはないと考えられていた。しかし、1990年の最高裁の判決によって「共同相続人はすでに成立している遺産分割について、その全部あるいは一部を全員の合意によって解除したうえ、改めまして分割協議を成立させることができる」という判断を示した(最高裁1990年9月27日判決)。

(4) 遺産の再分割時の注意点
裁判による解除であったとしても、合意解除であっても無条件で再分配が認められるわけではなく、(1)裁判上の争いがなれ合い的な訴訟であるかどうか、(2)裁判所の和解勧告によって当初の遺産分割が無効であることを確認した事実経過的な内容、(3)合意を解除した時期・理由が重視されるものと考えられている。

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