‘上場株式’
主たる相続財産の相続税評価額の算出方法を教えてください。
相続税額を算出するためには、相続財産について相続税評価額の計算を行う必要があります。土地、建物、有価証券及び現預金が、主たる相続財産といえます。
主たる相続財産の相続税評価額は、次の通りです。
1.不動産
(1)土地
路線価評価額等(国税庁のWebサイトで確認できます。)
(2)家屋
固定資産税評価額(納税通知書に記されています。)
(3)貸家
固定資産税評価額の70%
2.有価証券
(1)上場株式
現在の株価×持株数(新聞株価欄)
(2)未上場株式
1株純資産×持株数(1株純資産=自己資本÷株式総数)
(3)投資信託
現在の時価×口数(新聞株価欄)
(4)その他証券
額面金額
3.現預金
現在の残高
4.その他
(1)生命保険金、退職手当金
保険金-非課税額(非課税額=500万円×法定相続人の数)
退職金-非課税額(非課税額=500万円×法定相続人の数)
(2)ゴルフ会員権
時価の70%程度(取引業者への問合せを行います。)
相続によって上場株式や証券投資信託を取得した場合の評価について教えてください。
財産評価通達の定めによって、次の通り評価を行います。
1.上場株式の評価
上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式は、納税義務者が選択した金融商品取引所とします)の公表する課税時期の最終価格によって評価をします。ただし、その最終価格が課税時期の属する月以前3ヶ月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額のうち最も低い価額を超える場合、その最も低い価額によって評価を行います。
負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価をします。
例えば、×3年5月15日に相続が発生し、Y株式1,000株を相続したとします。
(1)Y株の×3年5月15日の最終価格 500円
(2)Y株の×3年5月平均額 520円
(3)Y株の×3年4月平均額 490円
(4)Y株の×3年3月平均額 460円
評価方法については、通常は(1)~(4)のうち最も低い価額、すなわち(4)×1,000株=460,000円により評価します。しかし、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した場合には、課税時期の最終価格、すなわち(1)×1,000株=500,000円で評価を行います。
2.証券投資信託受益権の評価
証券投資信託の受益証券については、課税時期において解約請求又は買取請求によって証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次の通り評価します。
(1)中期国債ファンド・MMF(マネー・マネージメント・ファンド)等の日々決算型の証券投資信
託の受益証券の場合
次の算式で計算した金額によって評価を行います。
1口当たりの基準価額×口数+A-B-C
A・・・再投資されていない未収分配金
B・・・Aにつき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額
C・・・信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含みます)
(2)上記(1)以外の証券投資信託の受益証券の場合
次の算式で計算した金額によって評価を行います。
課税時期の1口当たりの基準価額×口数-A-B
A・・・課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額
B・・・信託財産留保額及び解約手数料(消費税額に相当する額を含みます)
ただし、例えば、1万口当たりの基準価額が公表されているものについては、上記算式の「課税時期の1口当たりの基準価額」を「課税時期の1万口当たりの基準価額」と、「口数」を「口数を1万で除して求めた数」と読み替えて計算した金額となります。
なお、課税時期の基準価額がない場合は、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を課税時期の基準価額として計算します。