相続人に変動がある場合の取り扱いについてが、わかりません。
<解答>
2005年4月以降につきましては、A・BにつきましてはCへ価額弁償を支払った日から4ヶ月以内に更正の請求が可能になり、Cについては税務署によって増額更正を受ける可能性が存在している。
<解説>
(1) 東京高裁2004年11月27日判決概要
実は、これと同様の内容の案件がかつて争われたことがあった。それが東京高裁2004年11月27日の判決である。その内容については、1988年3月に三兄弟が相続税の期限内申告を行うことになった。そのほぼ1年後の1990年1月に突然、裁判所の認知判決によって相続人である新たな兄弟(認知された子供)が現れてしまった。その三兄弟と認知された子供は、裁判で争い、結局遺産分割に代わるものとして、三兄弟から認知された子供に約5000万円の金銭を支払えとの判決が出されることになった。
そこで三兄弟については、その支払判決から4ヶ月以内に更正の請求を行い、相続税の還付を請求することにした。
更正の請求を受けた所轄税務署については、その日から4ヶ月以内に、三兄弟の裏腹の関係で認知された子供に相続税を払えという「増額更正」を行うことになった。
しかし、認知された子供には、増額更正が可能である期限については「認知判決が確定した日」平成2年一月から4ヶ月以内であるとして争いが生じ、東京地裁2001年5月25日判決、東京高裁2002年11月27日判決の両方において、認知された子供の主張が通ることになった。
(2) 判決の考え方
東京地裁でも東京高裁においても、「相続税法第32条二号によって認知判決確定の日=1990年1月9日から4ヶ月以内」もしくは、「国税通則法23条(2)より支払判決確定の日=1996年11月26日から2ヶ月以内」が更正の請求の期限であると判示された。
したがって、課税庁が行いました相続税法35条(3)に基づいている認知された子供への増額更正も無効であるとして、取り消されてしまった。
(3) 平成15年改正
つまり、上記(2)のケースにおいては、認知された子供への課税もれが生じてしまうことになってしまった。そこで、その部分を補う目的のために相続税法の改正が行われることになった。
つまり、相続税法第32条五号によって、民法910条(分割後の否認知者の請求)に基づいている請求によって弁済額が確定した場合において、さらに条件付き・期限付き遺贈の条件が成就することになり、期限が到来した場合においても更正の請求事由とみなすと改正されることになった。